スロープ 上野駅
浅田次郎さんの小説に「地下鉄に乗って」というのがあります。随分昔、読みました。だからですが
内容は、良く覚えていません。丸ノ内線か銀座線に乗って、タイムスリップして、現在と過去を行き来
するようなお話でした。そして過去は、戦前だったか戦争中だったかの時代です。
JR上野駅広小路口をでると地下へのスロープがあります。東京に出てきて最初に住んだのが足立
区で、上野駅をよく利用しました。そして、強く印象に残ったのがこのスロープです。下って行くと
銀座線の改札があります。今ではタイルが貼られてきれいになっていますが、最初に来た時の印象
は戦後のゴタゴタした東京のイメージでした。
ここへ来る度、その時の印象が蘇ります。たぶん、一部の汚れた壁面や、このスロープの角度、天井
の低さなどが、理由だと思われます。鉄道の発祥が、新橋品川間なら、地下鉄の発祥は、上野浅草
間です。上野駅周辺は、再開発で物凄く変わりました。ですが、このスロープは、駅周辺がどんなに
変わっても、第一印象の、昭和のなごりが色濃く残る上野駅に連れて行ってくれるような気がします。
この場所は時々通るところです。昔の雰囲気がそのまま
残されていますね。
上野駅は、この数年で大きく変貌を遂げました。
特に公園口のスロープや西郷さんに通ずる建物
など、昔日の面影もありません。でも、写真の
このスロープだけは、昔の雰囲気を感じます。