今回、一本桜巡礼と称して約30本の桜木をめぐりました。訪れた順番としては2本目に訪
れましたが、やはり最初にこの桜について触れたいと思います。樹齢約1000年という気の
遠くなるような年齢もすごいですが、自分が一番すごいと思うのは、その幹樹です。これ
は、すごいという言葉以外見つからないほどです。幹の周りが約10メートル、そして、そ
の幹樹から張り出した枝周りが約20メートルもあります。数字以上に実際に見るとその大
きさに圧倒されます。
枝から垂れ下がった花は、その名の通り、流れ落ちる滝のようです。滝桜とはなんとも
相応しい、これ以外にないというほどぴったりのネーミングです。でもこれは、偶然の産
物のようです。この桜のある場所が字滝というところで、滝地区にある桜から滝桜と呼ば
れるようになったようです。それにしても、滝を流れ落ちる水のように花が降り注ぐ様は
その名に相応しいと思います。
自分が、最初に訪れたのは2012年の4月末です。東日本大震災の翌年で、福島は同時に起
きた原発事故によって観光客が激減したと報道されました。仕事の関係で、以前、浜通り
のいわきから松川浦のある相馬周辺まで何回か来たことがあります。来るたびに、その美
しい風景に感動しましたが、そのエリアこそが原発事故の甚大な被害を受けた地域です。
自分は、何の力もありません。手助けは何もできないが、行くことはできる。兎に角見て
みようという思いで、相馬に向かったのですが、その途中、三春に立ち寄ったのでした。
滝桜は花期を終え、花を少し残してはいましたが、葉桜になっていました。それでも美し
いと感じたものでした。
2013年からは花の時期を狙ってきています。その2013年には、記録的な大雪と満開の桜
に出会いましたが、大体4月20日前後の週末に見に来るのがパターンになりました。しかし
今年は大異変、4月5日ごろ7分咲きという情報があって、大慌ててくることになりました。
地元の人の話でも、「記憶にない」ほどの早さです。それだけでなく開花の速さも異常に
速かったようです。そのため、ライトアップや売店の準備等、大忙しで何とか間に合わせ
たとのことでした。
この周辺には、この滝桜を親木として、子や孫がこれまた有名な一本桜として我々を楽
しませてくれています。三春だけでなく、福島を、否日本を代表する桜の一本であると思
います。この先あと何年出来るかわかりませんが、可能な限り、この桜巡礼は続けたいと
思っています。